テキサスで開催の写真展を観に行く。数台のカメラを詰め込んで出発した。
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テキサスのヒューストン空港に到着したのは夕方くらいだった。
郊外にある目的の宿泊地までバスで移動しようとしたのが失敗。ルートの違うバスに乗ってしまい、訳もわからず下車した頃にはすでに陽が暮れいた。
住宅街の様な場所で下車した私は、通りを歩く人に地図を見せながら訪ね歩いた。ただテキサス訛りの英語は聞き取れないし、私の英語も通じない。合っているのか不安になりながら歩いた。
辺りは暗くなり街灯だけが通りの輪郭を浮かび上がらせる。
4台のカメラを支える肩はすでに悲鳴をあげていたし、額と背中は汗でびっしょりだったのはよく覚えている。
それでもひたすら歩いた。
するとフリーウェイにかかる陸橋に出た。遠くにはバスで出発した中心地の街の灯りが見える。それはもう随分前に出発した遠い場所の様に思えた。
フリーウェイの場所を手持ちの地図と照らし合わせる。
この道で目的の方向へは向かっている様だ。
この時の出来事は帰国後の私の写真展「INMAN」で以下の様に記している。
フリーウェイ288にさしかかる頃には既に夜の10時をこえていた。
眼下に流れるヘッドライトの光は、ダウンタウンの遠い光へとリズミカルに流れている。
やって来る音と遠ざかる景色。その組み合わせに、いつか観たモノクロ映画のワンシーンを重ね合わせていた。「しかし分からん、、、あんたもそうとう物好きだな。」
背後でゲイブが言った。
「写真展とやらを観るために、日本からわざわざテキサスまで来ちまうなんて。いったいその写真に何が写っているんだ?」
その言葉には、わたしの行動に合点の行かないといったいぶかるものとは逆に、ある異邦人の呆れた行動を楽しんで見ているような節があった。
住宅街を抜け、ある道と交差する地点に到着するとゲイブは立ち止まった。通りの名前を確認すると、どうやら目的の場所まで来たらしい。振り返った彼の顔は、街灯を逆光にして黒い顔をさらに黒くつぶしていた。
そのとき一瞬、白い歯が動くのを見た。
何か言葉を発したのか、しかしその声は脇を通過する車のけたたましい騒音にかき消され、うまく聞き取ることができなかった。