今では写真を撮ることを生業としていますが、高校卒業後には建築設計士を目指し、デザイン専門学校の学生として過ごした時間がありました。
その頃は勉強もしないで西や東へ名建築を求めて走ったものです。
その頃に見た建築の中でも、谷口吉生 氏の造る圧倒的な建築には強烈な印象を受けました。
谷口 吉生 氏(ウェブ拝)
その中でも豊田市美術館は印象的で今でも感動を思わせてくれます。
豊田市美術館
小高い丘にある森を入り口に進むと突然現れる美術館。
建築物に対して斜めにアプローチする見せ方はパルテノン神殿を思わせますね。自然のもつ複雑な輪郭の中に突如現れる直線とのコントラストが何とも美しいです。
日常の喧騒から距離を取るため、美術館はすぐにその姿を現さず、敢えて屈曲したアプローチを進んでいくうち、不意にその全貌が開けてきます。そこには、丘の上の高低差を活かして配された、乳白色のガラスと緑のスレートでできた直方体が、空を背景に浮かび上がります。
豊田市美術館web
スロープから見た景色。
線と面の構成が面白い。建築のコンポジションが気持ちよく視界に組み立てられています。
入口に歩みを進めていくと、水平に伸びるファサードの巨大な構えとは対照的に、正方形の壁に目隠しされた控えめなエントランスが現れます。ここでもう一度人間の身体感覚に戻って、これから美術作品に向き合うための準備をします。
豊田市美術館web
スロープを上がった場所にあるアーティストの作品。
鏡に自然や水盤が写り不思議な気持ちにさせてくれるのです。
美術館とは、建築の外部から内部にまで、作品と出会う感動を求めて辿る旅のための装置である。
谷口吉生
感動をありがとうございます!