前回の続き。
前回のブログはストーリーズ写真に仕込まれた光①↓
この写真は夜の雰囲気を写したものなのですが、実際の現場の雰囲気とは異なるという内容のブログを書きました。
どういう事かと言いますと、人の目とは精巧にできていて明暗の刺激を常に受けながら明るい領域(ハイライト)から暗い領域(シャドー)まで広い快調を見る事ができます。実際に私の目で見ている視点とカメラで撮られた写真をここで比べる事は不可能ですが、ストーリーズのインテリア写真を通して、どのように自分の視点に写真を近づけようとしているのかを書いてみたいと思います。
まず、以下は現場そのままの状況で撮影した写真です。
裸電球やペンダントライトが主なので、上からの光がメインとなっています。一見するとこれでも良さそうにも見えますが、写真の中に暗い部分(シャドー)が多く情報量が足りない様に思えるのですね。
全体的に写真を明るくしてみましょう。
全体的にシャビっとした雰囲気になってしまい、現場で感じた独特な風合いが無くなってしまいました。漆喰壁の白が随分と明るくなったのが原因でしょう。全体的な明るさは先ほどの雰囲気が近そうです。
もう一度戻してみます。
私が注目した部分は、
- ダイニングの椅子(背中)
- ソファの足下
- 扉
部分です。この部分をもう少しはっきりとさせれば、写真にメリハリがつくのではと思いました。
まずは一番奥の「扉」。
スポットライトの光を扉へ弱めに当てます。ライトの距離、角度、場所は仕上がりをイメージして、作為的な光にならない様に注意です。
次に「ソファの足下」。
ソファの足下から床へ光が届く様に当てました。床のフラットな階調にも変化を与えます。
続いて「ダイニングの椅子(背中)」
後ろのソファとシャドー部として馴染んでいた椅子の背板が浮かび上がりました。
この部分は明るさを抑えめに。なぜなら写真の手前の方に明るい部分があると、そこに視線が引っ張られてしまうからです。インテリア(空間)写真には奥行きがあった方が良いので、視線が奥へ伸びる様に手前は暗く、奥へ明るい部分の配置が基本です。
この3箇所にライティングした写真それぞれを、一枚の写真として合成すると、
こうなりました。
最初と最後を並べてみます。
最初 | 最後 |
あまり違いが無いように見えるかもしれませんが、あくまで現場で見た雰囲気を生かしつつ、自分が注目した部分に光を当てる。
主観ではありますが、人の目は絶えず明るい場所と暗い場所で光を取り込む量をコントロールしていると思うので、「何か足りないな」という場合はこの方法で自分の視点へ写真を近づける様にしています。
終わり